【実践記】洋楽で英語が上達できるのか体験中

洋楽で英語を勉強方法

耳から聴いて覚えるという方法は、子どもが語学を覚えるような感覚です。

何度も聞いていることは自然と頭に入り、繰り返しにより、口から出てくるようになります。

まずは好きな音楽を選びます。テンポの速い音楽だと、言葉も速く流れるため、できればバラードがいいかと思います。

それを最初はただ繰り返し聴くだけです。何度も何度も繰り返し、ところどころ口ずさめるようになるくらいまで聴きます。

今度は歌詞を見ながら、一緒に歌ってもいいですし、頭の中で歌っても構いません。歌詞が合っていることを確認します。

意外な単語が意外な使われ方をしていることもありますし、歌詞の中に使われる描写は文法の学習にも大変便利です。

そのあと、歌詞の意味をしっかりと考えます。

歌い手が誰に向け、どんなメッセージを伝えようとしているのか、気持ちが伝わる言い回しがたくさん出てきます。

そういうものを繰り返し聴き、繰り返し頭の中で口にすることで、気持ちの描写ができるようになり、情景が描けるようになります。

また繰り返しのプロセスが、自分にその言い回しを根付けてくれ、それを実際の会話の中で使えるようになってきます。

洋楽で英語を勉強した結果(体験談)

エドシーランのSupermarket Flowersでやってみました。

静かな曲なので、エドの声が聞き取りやすく、また語るような口調、胸に入り込むメロディライン、こういう楽曲は英語学習に最適です。

何度かただ聴くだけ。聞き取りしようとせず、ただ無心に音楽を聴いてください。

そのうち、ところどころ歌詞を頭が勝手に拾い、知らないうちに単語が浮かぶようになります。

歌詞を今度は実際見ながら、すでに頭にしっかりと入っている曲を聴いていきます。

もしかしたらこうと思っていた単語が実際違っていることもありますし、なんて言ってるのかな、と思っていたものが、明確になることもあります。

ネイティブが普段使いするような単語が語り口調の楽曲にはたくさん使われています。

そういうものを丁寧に繰り返し聴き、覚えていくことで、実際の会話の際、自分の口からそれが出てくるようになります。

この方法は、心に響く楽曲、歌詞、それを記憶することで、感情の描写、言い回しを覚えていくことができます。

また文法のパターンなども理解することができ、会話だけでなく、読み書きの能力もぐんと上げてくれるはずです。

例えばこの楽曲、実際エドのおばあさまがお亡くなりになった際に書いた曲だそうで、愛する家族を亡くした悲しみがしみじみと伝わる言い回しがたくさん出てきます。(エドのインタビューによると、エドのお母様の視点で書かれた楽曲とのことで、この曲の主人公はエドのお母様ということになります)

“oh I’m in pieces. It’s tearing me up but I know A heart that’s broke is a heart that’s been lobed”

I’m in pieces – 文字通り、自分はばらばら、ぽろぽろだという意味

It’s tearing me up – tearは引きちぎる、引き裂かれる、という意味です。

心が引き裂かれそうなんだ、と言っています。

(But I know) A heart that’s broke is a heart that’s been loved –

でも僕は知ってるんだ、

a heart that’s broke、壊された心、心が耐えられないほど、壊されるほど苦しい、という意味。

それは、(is) a heart that’s been loved – 愛されていたから、愛されていたからこそこんなに苦しい、という意味になります。

体験して気付いたメリット

ビジネスの場面ではこういう言い方が必要な場面は少ないかもしれませんが、人付き合いをしていて、悲しい気持ち、また、悲しいことがあった方とお話しする機会はたくさんあるはずです。

そういうときに、こういう言い方、感じ方を英語で理解できると、口にできると、会話はぐんと深くなります。

この曲は、エドのお母さんが、お亡くなりになった御自身のお母様(エドのおばあさま)に贈るという構成になっています。

ですので、問いかけるような、気持ちをぶつけるような表現がたくさん出てきます。

でもその中に、普段でも自分の気持ちを表現するのに便利な言い回しもたくさんあるんです。

例えば、”don’t you cry when you are down”、これは落ち込んでも、辛くても泣かないんだよ、という意味ですが、downという便利な一言、これはupsetでもあり、sadでもあり、もしかしたらdisappointedでもある、いろんな悲しい状況をdownという一言で言い表すことができます。

ちょっと今日は落ち込んでいるんだよね、I am feeling a bit down today、というように。

音楽というのは表すものですから、気持ちを表現するのに便利な言い回しを覚えるのには大変有効なツールとなります。

特に、自分が好きな楽曲で、それを口ずさめるようになれ、中身もしっかり理解できる上、素敵な言い回しを学習できるなんて、いいことばかりです。

洋楽で勉強する時のデメリットと注意点

ただ楽曲を聴き、歌詞の意味を文法的に理解する、というところにとどまってしまうと、話がちょっとこじれてしますこともたくさんあります。

この楽曲は、エドのお母様が主人公の楽曲で、彼女が他界した自分の母親を想って構成されています。

でも、歌い手はエドなので、その背景を知らなければ、主人公は男性であり、その母親を想っての曲だと勘違いしてしまいがちです。

この主人公が女性だと理解してこの曲を聴けば、どうしてそういう気持ちになるのか、ただの歌詞ではなく、その先を理解し、その理解が正しいストーリーの理解となり、流れを把握することができます。

ですので、楽曲を選ぶ際は、その制作ストーリーを少し調べてから、をお勧めします。

間違った理解をして聴いてしまうと、細かな言い回しの意図がずれてきてしまい、結果的に全体的にずれて覚えてしまいことも多々あるかなと思います。

楽曲の中にこういう部分があります。

“John said he’d drive, then put his hand on my cheek and wiped a tear from the side of my face”

ジョンが(僕が)運転するよ、と言い、わたしの頬に手を当て、(頬にこぼれる)涙を拭ってくれた

とあります。

これはジョンというのが、主人公であるエドのお母様の御主人であり、彼が彼女を思って、僕が運転するよと申し出てくれ、頬に流れる涙を拭ってくれるという場面です。

主人公が女性だと理解しており、ジョンがパートナーであるとわかっていてこの曲を聴けば、その思いやりある、愛情深い動作が目に浮かび、心があたたかくなります。

でも、エドが歌っているから、主人公は男性だと思って聴くと、ジョンって誰なの、となって、ストーリーの展開がきちんと見えてきません。

中身を理解して聴くと、英語学習には大変いい効果を生み出してくれます。

初心者が着目すべき点

テンポがゆっくりで、バックグラウンドも静かな曲が、音楽を使った英語学習には向いています。

これはリスニングにとても効果のある学習法ですが、何度もこの中でお話ししました通り、文法の勉強にもとてもおすすめです。

ネイティブの正しい英語の使い方、気持ちの表し方、コミュニケーションをとる際にとっても大切なことを、音楽を聴きながらの英語学習法では身につけることができます。

初心者の方の場合、文法のパターンを覚えるのも、とても大切なことです。

I took the supermarket flowers from the windowsill

これは窓辺に飾ってあったスーパーマーケットで購入されたお花を片付け、という意味ですが、誰かからお見舞いで贈られたものなのか、お母様が御自分で買いに行かれたのか、身近な、普段の、当たり前の情景によくあるものを片付ける、ということです。

誰かが亡くなると、そういう毎日当たり前に手にしていたものをひとつづつ片付ける、そういうものの描写です。(イギリスはどんなスーパーマーケットにもお花売り場があり、お買い物のついでにお花を買う、というのはとても日常的なことです)

Folded your nightgowns neatly in a case

これはナイトガウンをneatly、きちんと、丁寧に、ケースに畳んで入れた、という意味です。

これもスーパーのお花に同じく、普段の生活にとても身近なものを、もう使われることがないという気持ちで、大切に丁寧に畳んで、故人を思っているのが目に浮かぶ動作です。

リスニング中級者以上にオススメな曲、取り組み楽曲は自分の好きなもの、にこだわっていいと思います。

その方が頭に入りやすいですし、覚えも速いからです。

中級以上の方は、ネイティブの表現を注意して聞き取り、それをできるだけすぐに活用できるようにしましょう。

エドはイギリス人ですので、イギリス英語で歌詞は書かれています。アメリカ英語との違いを考えてみましょう。

Packed up the photo album Matthew had made Memories of a life that’s been loved A heart that’s broke is a heart that’s been loved

また、動作ですが、

I fluffed the pillows, made the beds, stacked the chairs up

枕を軽く叩いてふんわりさせ、ベッドを整え、椅子を積み重ねた

fluffedという言い方に軽く叩いてふんわりさせる、という言い方が全て入っています。

クッションでも同じ言い方ができますし、何か少し潰れているものを揺すったり、叩いたりして、元どおりにふんわりさせる、という言い方です。

ベッドを整える、というのはベッドメイク、という日本語の通り、ベッドメイクをする表現。

Stackというのは積み重ねる、縦に高く積み上げるような言い方になります。

重複しますが、John said he’d drive, then put his hand on my cheek and wiped a tear from the side of my face

ジョンが、僕が運転するよ、と言い、彼女の頬に流れる涙を拭ってくれるという、思いやりあふれる動作がこの1文に溢れているのをキャッチしてください。

I hope that I see the world as you did ‘cause I know a life with love is a life that’s been loved

お母様がご覧になった世界を自分も見たいと願う、その理由は、お母様が生きられたような愛ある人生というのが、愛された人生だから。

お母様が生きた愛のある人生を、自分も生きたい、というような願いです。

中級以上の方は是非、歌詞から見えてくる世界を、文法を細かく理解することでしっかりと掴み、その言い回し、表現を自分のものにするというのが、音楽を通した英語学習の素晴らしい効果になると思います。